新しくなったエアコンが快適過ぎて外へ行きたくない!!(笑)とは、言ってもイベント出演や大道芸現場など毎週必ず何処かへの出動はあるので、あとは少しでも曇らないのか?突然の雨は大丈夫か?と気になることばかり。

最近は台風シーズンになりパフォーマンス現場では毎回のように天気予報や空模様とにらめっこするのが続いています。

もう30年くらいこの世界で活動させていただいてますが、毎年6月、7月は天気予報アプリを頻繁に見るのが恒例となっています。

梅雨や台風、それは日本で暮らしていれば当然のことで仕方がありません。雨予報の日でもうまく振っていないタイミングに合わせて、あるいは天に運を任せてできるだけ降っていない時にササっとショーができれば良いのですが…。こればかりはねぇ~。(笑)

いつ降ってくるかわからない雨、雨降りの前後の風、自分たちだけではなくギャラリーの熱中症対策も気にしながらの駆け足のショー、水分補給、頻繁になるディアボロのストリングス交換、etc…。ホント夏は気を付けなければならないことが多過ぎます。

デンパーク(06.22実施)でも非常に蒸し暑く、いつ降り出してもおかしくはない状況で奇跡的に3回はやれましたが、なんだかギリギリの危ういところを綱渡りしながらショーをしているような気分でした。ジメジメとしていて、こういう気候の時がディアボロのストリングスには良くない状況で、メンテナンス回数もグっと増えます。こんな暑い中でも近くで見ていただけて嬉しかったですが、パフォーマーサイドとしてはギャラリーの熱中症という点も考えながらやらないといけないので、ショーの所要時間も短くなるように駆け足のショーでした。(笑)

 

さて今回のブログではファイヤーショーで使う燃料の話題です。いろんな人がこの話を聞きにやってくるので一度は書いた方が良いのかと、燃料はどうしてる?トーチやファイヤーデビルのウイックは何使っている?ファイヤーソードの開閉バルブは…、などなど質問されることもあり、それらに応じる気分で書いていきます。

スピニングマスターズがファイヤーパフォーマンスをするようになってから火気を使用してのショーを実施する場合の鉄則があります。このブログでも一貫して発言しておりますが、まずは安全第一。その上で一番注意していることはギャラリーに悪影響が無いことであり、いくつかある中で匂いと煙の量を一番気にします。

それは商業施設などでファイヤーショーを行うことも多い私たちにとっては非常に重要なのです。そのために燃料の選択は細心の注意を払います。一般的には誰もが知っている灯油を使っているかと思われがちですが、石油ストーブ用として冬季の一般生活で使われる「白灯油」でさえも匂いや、多少と言えど黒煙が気になるので使いません。灯油は安く入手できますが匂いは商業施設では周囲の店舗やキッチンーなどにもかなり迷惑です。

この白灯油は安くガソリンスタンドやホームセンターなど、どこででも入手できますし一般家庭用で安全性は高いのはメリットなのですが、上記のとおり(匂いも黒煙も発生しやすい理由)ショーで使用するには不向きなので昔は練習や何らかのテストの時などには使ったくらい。それに車で道具を搭載して移動中にも車内が灯油臭くなるのも嫌。

過去に実際の現場で使用したり、テストをしたことがある燃料のインプレッションですが、安全面では理想的な、キャンプ用などのランタンで用いられるパラフィンオイル。いわゆるランプオイルです。嫌な臭いではありませんが、燃焼時にわずかに独特な匂いがあります。燃焼後のススも無く黒煙は出ませんが、消化した後には水蒸気にも似たような白煙が多少出るのが気になることがあります。スピニングが着目した製品のパラフィンオイルは環境にもやさしい燃料であることが特徴でした。10年以上も昔のことですが、当時の長島リゾートでのパフォーマンスにはみんなこれを使っておりました。

他にも過去に使用した燃料で、最も使いやすく安全性も高かったのが天然ガスから生成され、一般家庭のストーブ用として製造販売されていた「エコ灯油(後にヒートクリーンと商品名を変えています)」。発売とほぼ同時に使用開始しました。匂いはほぼ無臭と言って良く、ウイックをきちんとメンテしてあれば燃焼後の黒煙も出ません。ただし、ファイヤートーチなどに使う耐熱布(ケブラーウイックなど)によっては、素材の都合でウイック側の焦げた部分が炭化していると薄っすらとした黒煙を発生することがありました。

家庭用として開発され市販されていたものでしたが、白灯油と比較してみると、匂いや黒煙発生という点ではとても優秀でしたが、一般家庭の暖房用として冬を通して使い続けるには価格的に高価であり、おそらくそれが理由でメーカーも販売中止としてしまい現在は入手が不可能です。

スピニングもヒートクリーンのストックを持っており、今でも部分的に使い続けていますが、ストックが無くなり次第完全終了です。無くなる前には次に最適な燃料を見つけることをしなければならず、いろいろ調べました。自分が自動車部品開発の仕事をしている時にオイル関連の商品開発にも携わっていた経験があり、ある程度は専門的なノウハウもあったので、これまでにも幾度か「これは使える!」という燃料を試してみたことはあります。数種類の中からエコ灯油に近い使い方が可能な燃料がアイソゾールでした。

ここ3年ほど安定して使用させていただきましたが、アイソゾールもお別れです。
エネオスからは今年いっぱい(正確には2026年3月)でアイソゾールが生産終了となるとの情報だったのですが、半年も繰り上がって早くも生産終了となり入手はできなくなりました。(現在はENEOSも出荷停止状態です)これはファイヤーショーを実施しているものにとっては昭和シェル石油がヒートクリーンを生産終了した時と同じくらいの一大事です。

同じ成分でアイソパー(EXXON製)も数種類ありますが、これはコスト的にはかなり高額になり安定して使用していけるものではありません。

現在はENEOS製の中で、アイソゾールに変わる市販燃料を模索中でいくつかの候補から順次テストをしていく予定で、データを比較しやすいように一覧表にしてあります。あくまでもメーカーが公表している数値を基にしています。

いろんな部署に問い合わせをしてみたところ、テクリーンN16を推奨されます。データを見る限りクレンゾルHSも一度テストをしてみる必要もあるかも知れません。しかし、いずれにしても実際にいくつかのテストをしてみないと使用感や安全性など数値だけを当てにはできず、自分たちの目で確認してみないことには、いくら少量でも現場で使う訳にはいかないと考えております。

現在はまだアイソゾールのストックもあり、道具や演目によってはホワイトガソリンを使用したり、ランプオイルも含め3種類を使い分けしております。

使用する燃料や、パフォーマンスアイテムによってはウイックの素材を変えたり、必要に応じてステンレスワイヤーで燃料を含ませる量を絞って調整をするなども必要。季節によっても微調整は必要で常にコントロールをすることが重要です。

お客さんだけでなく、これらを使用するパフォーマーにとっても安全なのもで、その使い方や保存、管理に至るまで熟知していなければならず、自分はエンジニアあがりでスピニングマスターズのオリジナリティ、ノウハウの管理者でもあるので、今回のようなブログで表記できる情報はほんの一部であり、記載できないことの方がむしろ多いくらいの情報量なのです。

いつもお決まりのように書きますが、にわか知識だけで安易に使用したりして火傷などをされても一切責任は負いません。また、経験の浅い若手パフォーマーの中には簡単に考えている人もいるようですが、外側から見ているだけと、実際にそれを実施するということとは全く別次元であるということも知っておくべきです。お客さんに対しては絶対の安全対策はもちろんですが、自分自身もパフォーマー生命を終わらせないようにお気を付けください。くどいようですが、確実な安全対策の上でしか迫力のファイヤーショーは成り立つことはあり得ないと思います。

警告や注意なども含めると、少し辛口な終わり方になってしまいましたが、重要なことなのでご理解ください。