皆様、ご無沙汰しております。

スピニングマスターズのWebサイト全般を管理しているので中々このページを更新することが出来ず、久しぶりのブログ投稿となります。

この度、ふくやま大道芸2025に参加させていただき、街角パフォーマンスだけでなく、一発芸コンテストやスペシャルナイトという文字通り特別なステージでのナイトショーを披露させていただくことになり、出演が決まった時からメンバー全員でいろいろアイデアを出し合って構成を考えたり、どんなアイテムが必要になるのかなどのミーティングを重ねておりました。

スピニングマスターズの普段実施している大道芸パフォーマンスは現在は津軽三味線サウンドに載せて披露する「大道芸じょんがら」という和風テイストのファイヤージャグリングが主な演目となっており、多少の所要時間を延ばしたり、縮めたりという時間調整や演目の構成変更をすることはあっても、滅多にやらないのが全く違う構成でのショー。ましてやナイトショーとなると、クラブやボール、デビルスティックなど手から離れるパフォーマンスアイテムを使うのは周囲が暗い状況では格段に難易度が上がる為、特定の現場(やり慣れたところ)でしかやらないのですが、今回のふくやま大道芸2025にはいろんなスピニングマスターズなりの「思い」があったので全力でやってみよう!ということになり準備を進めてきました。

出場決定から開催終了までの準備の様子や練習風景などはスピニングマスターズのイベントレポートで連載しておりました。

>>ふくやま大道芸2025出演情報①

>>ふくやま大道芸2025出演情報②タイムテーブルは…

>>ふくやま大道芸2025出演情報③スピニングの思い

>>ふくやま大道芸2025出演情報④ふくやま大道芸に向けて…

>>ふくやま大道芸2025出演情報⑤練習と道具作りの関係

>>ふくやま大道芸2025出演情報⑥最高のコンデションで

>>ふくやま大道芸2025出演情報⑦カウントダウン動画公開

>>ふくやま大道芸2025出演情報⑧フェスティバルでの音響

>>ふくやま大道芸2025出演情報⑨ナイトショーのライティング

>>ふくやま大道芸2025出演情報⑩裏方のサポート

>>ふくやま大道芸2025出演情報⑪最終調整を…

>>ふくやま大道芸2025出演情報⑫雨天時の情報

 

当ブログはスピニングマスターズで音響オペレーションとアイテム開発&製作を担当するTOMOHIROパパのモノ作り話題がメインのページなので、ふくやま大道芸2025ではどんなアイテムを作り、現場で使用していたのかという裏エピソードを綴ってみようと思います。

 

パフォーマンススペース的に狭いところや、お客さんとの距離感が近いと感じたところではやらなかったのがファイヤーソード。このファイヤーソードは2タイプがあります。

実は2024年夏ごろから設計と開発を進めてきて、昨年秋には実践デビューを果たし、まだ、ふくやま大道芸に出発する1週間前までメイク&トライの改良作業が続いておりました。

YouTubeなどでの映像撮影だけならともかく、生でショーを披露する大道芸。実際に披露するとなると正確に作動するギミック作りで難しい点が多くあり、それはファイヤーソードをギャラリーは元より、それを扱うパフォーマーにも安全第一は当たり前であり、しかも豪快に見えるようにとギミックの試行錯誤を繰り返しながら完成させました。危なげに見えるパフォーマンスは常に安全確保の上に成り立っております。

当然、このように使うアイテムなどお店で売っている訳もなく、海外からの通販でもスピニングの使い方にフィットするものなど見つかりもせず、参考になるような情報すらなく自分で製作するしかありませんでした。こういうことは好きな方なので時間にゆとりがあればするのですが、年齢的なこともあり、以前のように何でもスイスイと作業は捗らず時には苦戦することも。

ファイヤーソードは2タイプ開発したと書きましたが、一つは粉塵爆発現象を利用したもので、コーンスターチと、とある植物の胞子から生成されるパウダーと、かなり細かく特殊加工されたチタニウムパウダーをバランス良く混ぜ合わせた粉末を火炎増量剤として使用するタイプと、パワーガスを注入しパフォーマーの操作で噴射する2タイプ。ガスタイプの方は風が無ければファイヤーブレードの倍以上に炎が伸び上がるように見えるという狙いがあり、圧倒的に安全なので通常の大道芸でOK!ヒロヤが前座でも使っています。

パウダータイプはソードの先端に遠心力で開いたり閉じたりする解放バルブがあり、その製作と調整に一番時間を要しましたし、ガスタイプはグリップ内に液化したガスを入れそれをボタン一つで噴射し、止めることもできるようコントロールギミック作りに時間がかかりました。どちらもシンプルな構造ですが、細く狭い部分に組み込むパーツ類は精密さを要求されるので一つ一つの部品製作に時間がかかるのです。
正確な図面ではありませんが、略図で見るとこんな感じの構造です。素材はジュラルミンと真鍮、そしてステンレスで出来ています。


あとは、どちらも鞘に格納した状態で点火するので電磁パルスを使用した点火装置製作にも苦労が。いずれにしてもゼロから作り上げていくアイテムなので時間がかかるのは仕方ありません。

ふくやま大道芸2025では一発芸コンテストでOK!ケイタとちょんまげヒロヤの2人でソードを振ることにして、当日は風があったのでパウダータイプではなく、ガスタイプを使用しました。

 

次にファイヤーデビルスティック。

ヒロヤはソロショーの時に、ケイタもほぼ毎回 普段のショーでファイヤーデビルスティックを使用します。

今回の話題にしているファイヤーソードでもこの4ヶ月ほどでプロトタイプを入れれば5本を製作しているという状態で、ファイヤーデビルスティックについても最終的に6本を完全オリジナルで製作しました。

スピニングマスターズが完全オリジナルに拘る理由というのは、よく皆さんが想像されるような「人と同じは嫌だから」という理由ではありません。結果的にそうなっているだけで、皆と同じは嫌だということよりも、自分たちが「こう見せたい!」「こういう見せ方がしたい!」という追求からオリジナルの道具が生まれてきます。

スピニングマスターズのパフォーマンスやショーにおいて独自に製作したアイテムやギミックを多用し、パフォーマーがそれを上手く演出したりして見せ方の工夫をすることで完成しています。時間と労力を使わないと、思っているようなアイテムにならず完成域には到達できないのです。

スペシャルナイトで使ったファイヤーデビルはかなり特殊な仕様で、おおまかなスペックについてはレポートページ(>> ふくやま大道芸2025出演情報⑪最終調整を… )にも書きましたの省略させていただきますが、燃料を含ませる部分にはケブラーウィックを使用しておりません。

 

普通はこのようなアラミド繊維で出来ているベルト状のケブラーウィックを決められたサイズにカットして使用します。

 

画像は製作途中のものですが、太さもスプレー缶と比較してもわかるように尋常ではありません。(笑)

 

普通のファイヤーデビルスティックとしてだけ使うものであればメインパイプは24mmも太さは必要ありませんが、ファイヤーソードでギミックに使用する予定だったスピニング特性パウダーを使うため先端には特殊なバルブも装着しました。クロームメッキされているのはパウダーの滑りを良くするため。下の画像ではその工程の前のものですが、加工した細かい穴もコンパウンドで磨き、更にシリコンスプレーでパウダーの排出のための潤滑効果を促しました。

 

更にウエイトバランスの調整のためのパーツも装着をして、安全対策のためのツイストしたステンレスワイヤーで追加固定をしてほぼ完成の状態。この状態でテストを繰り返し微調整をしました。

 

普段の大道芸用とはかなり仕様が違うのは画像でも確認できます。

テストをした燃料もエコ灯油、ランプオイル(パラフィンオイル)、アイソゾール、ホワイトガソリンと4種類の性質や特性を考慮しながら何度もテストをした上でアイソゾールとホワイトガソリンに絞り、あとは当日の気温や風の状態に対応しながら最終判断をすることにしました。

燃料選択とパウダーの調整、ウエイトバランス確認のため、バーンとスパークのテスト(※安全な場所で安全確保をしております)をした時の記録用動画です。

スペシャルナイト当日も装着しておりますが、レースなどでピットクルーやレーサー本人も使用するノーメックス(耐火繊維)製のフルフェイスマスクをケイタは着用しております。通常のファイヤーデビルでは不必要ですが、今回製作した特別仕様のファイヤーデビルを使用する時には必須アイテムです。

 

私たちパフォーマーはファイヤーパフォーマンスを行う時には、なにも面白うそうだから闇雲にやっているとか、勢いだけでやっているわけではなく、アイテム作りから慎重に進め、何度もテストをしながら調整をしてデータを集め、ギャラリーにもパフォーマーに対しても安全性を確認した上で実践への運びとなります。

※特殊な環境で管理されたステージショーで行うものです。簡単なように見えて非常にシビアなアイテムであり、多くの経験を積んでいなければできないことなので一般の方々は真似をしないようにお願いします。

※当ページを参考にして同じようなファイヤーパフォーマンスをして怪我、火傷をするなどしても当方は一切責任を負いません。

 

 

 

最後にスペシャルナイトのダイジェスト動画を載せておきます。

多くの大道芸ファンの皆様からの好意で製作することが出来ました。皆様、動画提供ありがとうございました。

それではまた!