カスタムライトセーバーユーザーからお問い合わせ・修理依頼で頂いた事例を匿名でご紹介し情報共有をしようという「ユーザーQ&A」です。
今回は潰れたネジをどうやって抜くの?という修理のためのノウハウも含めて当店のエンジニアからいろいろ情報を引き出しました。
修理依頼フォームからの送信に対応しているのはOK!STOREサポートエンジニアです。商品に関するお問い合わせに対応しているのはOK!店長です。ハッキリと商品ご購入に関する内容の場合については私自身で殆ど対応させていただいていますが、技術的なことはサポートエンジニアが対応した方が100%確実で、修理が必要なケースでも適確です。
あまり知られていないことなのですが、こんなことはOK!STOREのスタッフ事情というか、体制の事なのでわざわざ情報公開する必要もないのですが、逆に隠しているわけでもないことなので…。当店のサポートエンジニアは元々レース業界出身で、長きに渡り世界ラリー選手権でメカニックとして仕事をしてきた人物。そのため、今でもイベント業で使用している移動用の車のメンテナンス、修理では大抵のことは自分でやっているメカニック&エンジニア歴50年というベテラン。イベント業の方でもショーで使う機材、道具、ギミックなど全て製作もメンテナンスもしていて、当店OK!STOREのカスタムライトセーバーに関することでも、幅広く機械工作からプログラミングまで担当してくれています。
今回のブログのテーマ「潰れたネジを外すには?」という内容はピッタリというか、取り付けしたネジならば外せないネジはない、と豪語しているほど。(笑)
それでは早速、今回寄せられたお問い合わせ内容について、どう対応させていただき、どのような結果になったのか、その事例をご紹介させていただきます。
◎ユーザーQ
「Luke EP4 Graflex Variant XenoPixel 」を所有のお客様
「購入後4回ほどチャンバラで使用。それ以外家で保管。週一度ほど充電。」という、使用状況だそうです。
「充電のため、スイッチ部分のネジを開けようとしたところ、六角レンチを強く回しても開かない。前回硬くネジを閉めたらしく、何度か試すうちにネジがなめてしまった。」
「動作に問題はないが、充電するために回すスイッチ部分の6角穴がなめてしまったため充電できないです。六角レンチは新しいものを使っても空回りするため、完全になめてしまったものと思われます。」
「繊細なものなので、初心者が工具を買ってきて穴を広げて一回り大きいレンチで開けでも良いのか分からず、修理に出すか悩んでいます。」
という、お問い合わせ内容でした。
◎OK!STOREエンジニアのA
お問い合わせいただきました件で対応させていただきますが、説明文が「…修理に出すか悩んでいます。」で終わっているので、ご要望がわからず、私共としてはどうご対応させていただくべきかわかり難かったです。
修理をお受けするのか、単にアドバイスを求められているだけなのか。
自己責任で作業をするためのアドバイスということならば、今回のケースではネジ山が舐めたのでなく、六角穴(おそらくイモネジ)が舐めてしまっているのであれば緩めるための対処はいろいろとあると思います。
取り敢えず下記リンク先のブログページにも対処方法の記載がありますのでお試しになられても良いかと思います。
>>ブレード固定時の注意とネジ山修正 (このブログ記事の時にはいろいろネジを外すための方法を書いています。)
他にもこうした工具を使われるのも一つの手段だと思います。
※この後、取り外すための工具としてはこんなものもありますよ、というネジ外しの特殊工具などもご紹介
※ここでネット通販などで販売している「逆ネジタップ」を推奨
そしてもう一つ注意事項として…
「…穴を広げて一回り大きいレンチで…」と書かれていますが、それは一番やってはいけないことです。
ご自分で作業されるときにはネジ山を傷めるとスイッチボックスの交換が必要になったりしますので周囲のパーツ、ネジ山破損には十分にご注意ください。
当店に修理をご依頼いただく場合にはヒルトのみを60サイズでお送りください。
以上のように対応して、その後はお客さんから何も返信なく、どうなったのか結末は不明です。返信が頂けなかったこと自体はどうってことなく当店も気にしないのですが、大丈夫だったのか?そこを心配しているだけです。
カスタムライトセーバーの世界ではこうしたネジが外れないということは稀でめったに遭遇しないのですが、自動車業界やましてやレースやラリーのモータースポーツ界では、ネジが外れないというトラブルは非常に多いそうです。
今回はネジ山が舐めているのではなく、ネジを回すための六角穴(と、書かれていましたのでおそらくイモネジか、ボタンボルト)が変形、拡大してしまってレンチが空回りしている状況なのではないかと推察しました。
または、六角レンチの先端の方が細ってしまって空回りしていたのかも知れません。
※多分、下記画像の部分にあるネジなんだと思われます。
特にご使用になっているモデルがXenoPixelと書かれていましたので、数年はお使いになられているセーバーだと思いますが、何度か締めたり緩めたりを繰り返しているうちに、六角穴が次第に拡大してしまっていたのか、最後に占めた時に既に六角穴を舐めてしまっていたのか、いずれにせよ お客さんからの問い合わせ内容からでは情報不十分(画像でもお送りいただければ状況判断しやすいのですが)で推察でしかなく、その後のお客さんとのやり取りも無かったためどうだったのか?は詳細不明のままですが、今回のブログでは「六角穴が舐めた!」というケースとして、情報共有のため 対処方法をまとめておきます。
まず、ネジの種類を理解しましょう。
カスタムライトセーバーでは精密部品が多いのでネジを回すという工程では周囲のスペースも限られるため、六角頭の普通のボルトではなく六角穴のボルトが使われることが多いのです。六角穴のボルトにはブレード固定のために使用されるイモネジや、他にもボタンボルト、キャップボルト、デザインボルトなどがあります。
工具の方も簡易的なLレンチ(L型)、Tレンチ(T型)、精密ドライバーなどいろいろ。精密ドライバーは先端のヘキサゴンビット(へックスビットとも言う)を交換できるの便利です。ハッキリと明確に書いておきますが、カスタムライトセーバーを購入したときにメーカーから付属されてくる六角レンチ(L型)などは材質的にもそんなに丈夫なものではありません。主にブレード固定のための使用目的なので簡易的なツールとして付属されていると思ってください。
可能であれば国産の精密ドライバーやTレンチを一つくらいは買って持っていた方が良いと思います。あるいは100円ショップなどで売っているものでも良いのですが、複数持っていた方が良いと思いますし、ビットを交換できるタイプなら尚のこと良いと思います。
では、外すための固いネジ攻略法です。
多くの人はネジを外そうとして六角レンチの先端を六角穴に入れて回そうとして「あれ?固い?」とはじめてその時に気付くわけです。でも、「固い?」と気付いた時ではなく、その前回の作業時にきつく締めすぎてしまったのか、あるは、締めているときにニュルッと六角レンチの先端とネジの六角穴とが滑って舐めかけてしまっていたのか、どちらにしても原因は「前回作業」である場合が殆どです。
そしてその次の作業時に「あれ?…」となってしまう訳です。なので、気を付けなければならないのは「締める」時であることを肝に銘じましょう。
しかしながら、「やってもうた!!」となってしまったら次の順序で試します。
①カスタムライトセーバーのイモネジなどはステンレス製ではありますが、小さく精密です。外そうとしたときの感触で少しでもガタがある、あるいはニュルッとした感じがあったらそのレンチは少しでも早く使用するのをやめ、とにかく六角レンチ、ヘキサゴンビットを新しいものに替えてみる。(※できれば国産の六角レンチ・ヘキサゴンビット)
原因は六角レンチの角が丸まっていくことも原因の一つです。新しく六角が角ばっている方が外せるチャンスが大きくなります。
②最初に試すのは浸透力の強い潤滑剤です。CRC 5-56やシリコンスプレーのようなネジ山をスムーズにしてくれる潤滑剤を少量吹き付けて4~5分待機します。ネジ山に潤滑剤が浸透しても六角穴にも潤滑剤が付着しているのでパーツクリーナーやアルコールスプレイーを綿棒などに染み込ませて六角穴の潤滑剤を少しでもふき取ってください。
③次にマスキングテープ、フィルム両面テープ、ビニールテープなどを六角レンチの先端に巻き付け、そのまま六角穴に差し込みます。ネジに対して垂直にレンチがなっていることは重要です。斜めになっていることを知らずに無理やり回すのはレンチの先端を傷めやすく、また同じ結果にしかなりません。垂直に真っすぐ立てて少し押し込みながら回します。イモネジもボタンボルトも2mmサイズなので大抵はこの作業で簡単に外れます。
④ここまで試しても外れてくれない場合には次の作業となります。少し手間ではありますが、六角レンチなどはその六角の棒状の部分が長いので先端が少しでも角が丸まっているときには短くカットして新しい六角部分を使えるように工具自体を加工します。ペンチなどでレンチを掴み、固定しながら鉄ノコで切り落とせます。切り落とした断面は基本的には軽くヤスリをかける程度で良いです。
これで新品の六角レンチを入手したのと同じことです。六角穴に差し込む時に少し硬いくらいで丁度良いと思います。
⑤更に頑固な外れないネジに対処する場合。最終的には専用の工具を使うことになります。今回ご質問頂いたお客さんにも紹介した「逆ネジタップ」という工具です。4mm、5mm、6mmと太いネジに対しては、このツールを使っても苦戦することはありますが、カスタムライトセーバーの場合には「固い!」「外れない!」と言ったって2mmのネジ。このツールの使い方を間違えなければ100%外せます。
こういうツールです。
安いセットは強度的にどうなのかは知りませんが700円以内でもリーズナブルに購入可能。国産の製品でも1500円ほどで入手できます。とにかく細いタップが含まれているセットを探してチョイスすることが重要です。
⑥作業前に外れないネジの周囲にマスキングテープなどを貼ってヒルトやパーツに傷が付かないように保護する処置をしてください。六角穴に入るくらいのサイズのタップを差し込んでネジを外す方向(逆時計回り)に回すと、タップは六角穴に食い込んでいく方向で、ネジ山は外れる方向なので次第にネジが出てくると思います。六角穴が浅い場合にはドリルで1.5mmほどの刃を付けて少し深くしてからの方が外れる確率は上がります。
⑦最後にもう一つ。使用している六角レンチの先端は対辺2mm(#2)というサイズですが、敢えてもうワンサイズ太い2.5mmを用意して先端だけを少しヤスリで細く削りながら、潰れた六角穴に少し軽めに叩いて差し込むくらいのキツさに調整しても成功例は多くあります。(実際にOK!STOREではブレードが外れないという依頼では何度かやって殆ど成功している)
トルクスと呼ばれている六角ではなく、六角星型の先端のビットを使うのも「アリ!」です。
特にイモネジの六角穴が深いところにあるような(ダースモールのエミッターにあるブレード取り付けネジみたいに)場合には、時間はかかりますがこの方法がベストです。
以上のような作業ができる環境と工具があればそれほどハードルが高いことではありません。しかし、十分に注意いただきたいのはヒルトやブレードに傷をつけないようにすることで、こうした下準備の手間を惜しむと後で出費が思った以上に嵩むことにも。特にコントロールボックスやサーキットプレートなどパーツが付いている周辺、またはクロームメッキのヒルト、パーツ周辺での作業には十分にご注意ください。
別に作業をさせてほしいわけではない、と言っていましたが(笑)、どうしても自身の無い方は百戦錬磨の当店サポートエンジニアに作業を任せた方が確実です。
ということで、今回のブログは、こんなことに遭遇してしまったら「ネジが外れない!」と叫ぶ前に、ここのブログ記事を思い出してね!という内容でお届けしました。
ではまた!!