今回のブログテーマはちょっとした技術情報を公開しようと思います。

カスタムライトセーバーを製造、メンテナンス、改造などを手掛けるには、プログラミングなどの電子技術系と機械工作系などのノウハウや工作力などが求められます。普通に購入したカスタムライトセーバーを起動させて振り回したり、コレクションとしてディスプレイしたりするには特別な技術など全く必要はありませんが、カスタムライトセーバーは購入した状態というのは一応完成されている状態だと言えますが、更に奥深く自分なりのセッティングやカスタマイズなどを楽しもうとすると様々な知識と技量が必要となります。

今回はプログラミング系の技術情報ではなく(それはまた機会を改めて)、カスタムライトセーバーの多くの場所に使用されているネジについて。OK!STOREへの修理依頼・お問い合わせフォームからの送信内容で比較的多いのはブレード固定用のネジをナメてしまったという相談。ユーザーからは焦りにも似た「どうしたらいいんでしょう?」という内容で届きます。ま、確かにどうしたらいいのか?だと思いますが、正直なところ当店の修理担当エンジニアに言わせると「ネジ山がなめて外れなくなったのか?それとも六角穴がつぶれてレンチで回せなくなったのか?どっちなのかすらわからないと対応しようがない」と言うのです。なので、説明文の書き方をちょっとわかりやすくするだけで適切な対処方法が返ってくると思います。

ヒルト側のネジ穴がなめたにしても、イモネジのネジ山がなめたにしても、更に六角穴にレンチを差し込んでもねじを回せない状態に陥っているにしても、それなりの対処方法もありますし、修理は可能です。修理依頼フォームからお問い合わせいただくにしても、焦らず、できるだけ情報を詳しくお書きいただければきちんとしたアドバイスや作業方法をお伝えすることはしています。最終的にどうしてもユーザー自身で対処できなければ当店で修理対応することも可能なので、過度に心配しないでほしいと思います。

さて、そういった外装系、ネジ系のトラブル発生時の対処方法をレクチャーしたり、ヒント、アドバイスをお送りたりすることも多いので、今回はブレード固定用のイモネジ関連のトラブルは一体どんなものがあるのか、またその時の対処方法についてもまとめて書いていきます。

 

◎ヒルトの材質について

まず知っておかなければならないのは所有しているカスタムライトセーバーのヒルト素材。様々な素材が使用されているので、その材質や形状、パイプの肉厚によってもトラブル内容も対処方法も変わってきます。

カスタムライトセーバーのヒルトの素材で一番多く使用されるアルミニュウムですが、アルミニュウムと一言で言っても強度もいろいろです。ネジ穴加工された状態でアルマイト塗装されたものは一度熱処理されているのでネジ山の強度もそこそこあります。また、スチール、ステンレス、真鍮など硬質な金属の場合も比較的丈夫な方だと思います。もっともネジ穴で強度が心配になるのはダイキャストです。中国製品などではダイキャスト製法(一度アルミを溶かして型に流し込んで製作する方法)で非常にやわらかい素材を使って形成されたヒルトのカスタムライトセーバーも世に存在しているので注意する必要があります。

 

ここで少し話は脱線しますが、OK!店長の苦い経験談からひとつ。

ちょうどコロナが流行しだした頃にパフォーマンスの新しい演目を開発する過程でライトセーバーを使用するようになったのですが、ショーで使用するセーバーはムービースタイル、レプリカモデルなどヒルトデザインのリアリティを追求する必要はなかったので、グリップ感が良く、シンプルなデザインでセーバースピンにおいてより軽量であることだけを、使用するカスタムライトセーバーの選択条件としてチョイスしていました。

ある時、メーカー(今はそのメーカーとは取引、お付き合いがありません)が製造したProffieとネオピクセルブレードを搭載したセーバーをショーで使用するために数本まとめて購入。商品画像からは判断できなかったのですが、そのセーバーのヒルトはアルミダイキャスト製の素材で強度面では最悪というか、もう悲惨でした。

体育館で練習中にブレードはロケットのようにぶっ飛んでいくわ、ダブルブレード化するために2本のヒルトを連結していたのですが、セーバースピン中に見事に空中分解して勝手にツインセーバーになるやら。(笑)これは使い物にならず、ヒルトは全てゴミ箱域になったという悲しいエピソードがありました。

アルミの粗悪な材質に関しては、カスタムライトセーバーの製造をより多く手掛けてきているメーカーのものは信頼できると思います。しかし、中国通販サイトなどで見かけるような無名のメーカーやショップ単位での製造品や、新しいメーカーの製品については要注意です。

本当に危険でショー本番でなくて良かったです。

そのセーバーのメーカー名は公表しませんが、皆様にはそういうセーバーと出会わないように気を付けてもらいたいし、当店ではセーバースピンやバトルプレイをする場合の強度についても十分なテストをした上でノウハウについてはユーザーからの質問には正直にお答えしておりますので、そいうアクティブな使い方をしたいユーザーは事前に「このモデルで〇〇をしたいけど…」というようにご購入前にお問い合わせいただければと思います。

 

さて、話題を元に戻します。

高額なカスタムライトセーバーは、粗悪な材質のダイキャスト製や、生アルミパイプから削り出したままという状態はあまりないので安心ですが、安価なカスタムライトセーバーには材質的にあまり丈夫ではないアルミ素材が使用されてたり、ネジ穴の加工方法も粗悪で「こんなので大丈夫?」というようなものもあります。※OK!STOREでは厳選しているので、そのようなメーカーの製品は取り扱いをしておりません。

これらは少し強めにネジを締めるとヒルトのネジ穴がガバガバになってしまうほどトラブルになりやすい素材です。セーバースピン中にブレードが外れて飛んで行くトラブルは殆ど原因がこれです。

続いてエミッターパーツの素材が生アルミの場合。アルマイト加工がしてあったり、クロームメッキ処理がある場合は大丈夫です。また当然ですが、スチール、ステンレス、真鍮なども問題はありませんが、では何故アルミだけ注意が必要なのか?それはイモネジがステンレスという素材だからなのですが、普通に考えてもアルミよりステンレスの方が材質的な硬度、強度があります。ブレードをしっかり固定させようとグイグイと締めすぎるとステンレスVSアルミなので、エミッターのアルミ素材の方が負けてしまうのも当然かと。

 

◎ブレードのインサート、エミッターの形状について

では、購入段階では何を一番気を付けるべきなのか?そこは、エミッターの形状、ブレードのインサート、イモネジの数、ネジ穴のポジションなどから選択するべきです。

バトルプレイやセーバースピンなどに使用するか否かでも変わってきますし、使い方や度合いや頻度にもよりますが、アクティブな使い方をお考えになる場合には、よりリアルに製造されてデザイン優先のレプリカモデル、プロップスタイルモデルなどでは注意が必要です。特にエミッターがネック形状(細首)のセーバーなどで、もちろん、ブレードを装着するときの強度などは最低限の計算はされて設計されているわけですが、ブレードの差込口の形状やインサート(ブレードの差し込み量)が少ないモデルがあるのでご注意ください。

ブレードを固定するためのインサートが少ないものは、ネジ部分にかかる負担も大きいです。エミッターカップ、ブレードのインサート部分のパイプ形状で肉厚が薄いものや、アルミの切削加工されたままの状態で何の処理もされていないモデルはブレード取り付け時にはイモネジをネジ穴に装着する際に注意が必要です。

こういうネック形状でインサートの浅くなるモデルはネジ数も多くなっています。そのうちの1本をブレード壁面を貫通させておくなどの加工をしておけばブレードが外れてしまうトラブルは殆どなくなります。OK!STOREではご相談いただければネジ数増加、ネジ径UP、ブレード貫通加工など対応しております。

 

ここからが今回のブログテーマのメインです。(笑)

◎ヒルト側のネジ穴が潰れてしまった場合の対処や使えるツール

ヒルトのネジ穴が潰れてしまった場合にはタップ(ネジ切りのツール)で修正をしたり、ワンサイズアップしたネジ穴を製作したり、別の場所に新しいネジ穴を作ったりします。XenoPixelやXENO3を製造するメーカーのヒルトの多くはブレード固定用のネジ穴がM4で、SN-PIXEL系はM4のモデルと、ワンサイズ小さいM3のモデルとがあります。

もしもヒルトのネジ山がなめてしまった!というケースの場合は、ネジ山の修正をするタップをホームセンターなどで購入すれば対処可能です。

ネジ穴が固くなってしまった、ネジ穴がつぶれかけているという場合にはタップで一番確かなツールです。また、新しいネジ穴を自作するときにもこれが必要です。

 

 

◎イモネジの六角穴が広がってしまいレンチで回せない場合の対処。

イモネジの六角穴が潰れてしまってレンチで回せなくなった場合には、OK!STOREでもパーツとして購入可能で、大型ホームセンターでも入手可能なので、まず、新しいものを用意しておきます。とにかくスペアネジはいつでも少しもっているのが望ましいですね。

オンラインウェブショップ OK!STOREではイモネジ10個と六角レンチのスペアのセットで 下のリンク先の商品ページから購入可能です。

>>イモネジセット M4×3mm(ショート) 10個 & 六角レンチセット

>>イモネジセット M4×5mm(ロング) 10個 & 六角レンチセット

>>イモネジセット M3×4mm 10個 & 六角レンチセット (一部のSN-PIXELモデル用)

 

 

次にヒルトに装着したまま、六角レンチで回せなくなってしまったケースでは、次の対処方法で六角穴の潰れたイモネジを外します。
①付属の六角レンチの六角形にひずみや変形してしまった可能性があります。日本製の新しい六角レンチを用意してください。六角レンチの番定はM4のイモネジの場合は#2です。日本製の材質がしっかりした六角レンチや新品の六角レンチであれば外せる可能性が高いです。いずれにしても今使用している六角レンチは破棄してべつのレンチでトライしてください。

②次に風船やビニールテープなどをイモネジの六角穴に当てたままその上から六角レンチを風船やビニールテープなどと一緒に差し込みます。微妙に六角穴が広がってしまっていたり、六角レンチの先端が変形してしまっている場合に風船の薄いゴムやビニール素材が隙間を補充してくれるので効果があり、ネジが回せることがあります。

③イモネジの頭がヒルトの表面から少しでも飛び出ている場合にはネジザウルスという潰れたネジの頭をがっちりと掴んで回す、潰れネジ専用のペンチも販売しています。ネジザウルスは先端が特殊な形状になっていて、通常のペンチではネジに対して水平にしかつかめないのですが、ネジザウルスは垂直につかめるように設計されています。
ただし、ヒルト側に傷が残らないようにネジの周囲などをマスキングテープなどで保護した状態から作業を開始してください。
※ネジザウルスは実際にOK!STOREでも修理時に使用して潰れネジを外すことに何度も成功しています。

④他にも取れなくなったネジを抜き取るためのツールは沢山あります。逆タップ式などで検索すると出てきます。

⑤イモネジの六角穴にレンチを差し込み、隙間から微量の瞬間接着剤を流し込んでしばらく放置。固まったらネジの周囲に潤滑剤スプレーなどを吹きかけてさらに浸透するまで放置。これで固着したネジが外れることも多いです。
※瞬間接着剤での方法でもOK!STOREでは何度か埋まりこんだネジの摘出に成功しています。

⑥他にもエポキシパテやUVレジンなど広がってしまった六角穴と変形して痩せてしまった六角レンチの隙間を埋めることで外せるケースもあります。

⑦潰れたネジを取り出せたら、最後にはネジ穴をタップで修正するなどメンテナンスしてからネジ穴にはシリコンスプレーなど潤滑剤を塗布して、新しいイモネジを使用してブレード固定してください。

 

付属している六角レンチはサイズはちゃんと使用できますが、簡易的なもので工具としての材質的にはあまり長く使用するには適していません。いずれにしても何度か使用しているうちに変形したり、イモネジの穴も広がってしまうこともあるので、定期的に交換するべきだと思います。また六角レンチはホームセンターなどで日本製の焼入れされた強度のあるものを購入しましょう。六角レンチの材質がクロムバナジウム鋼と表示されているものは完璧です。1本なら300円から800円程度、数本のセットでも1500円前後で強度も精度も高い六角レンチが購入できます。

 

今回はブレード固定に使用している六角穴のステンレスイモネジが潰れてしまったり、何らかの状態で回せなくなってしまった時の対処方法に特化してメンテナンス情報を公開しました。

 

ついでなので、ヒルトのグリップ部分についてもネジ山を潰してしまった、変形させてしまった場合の対処方法も書こうと思っていたのですが、長文となってしまったので次回ブログに書く予定です。

 

本日以下のモデルが入荷しております。


>>Baylan Skoll Variant XENO3

 


>>Obi-Wan Drama Variant XENO3

 


>>Luke EP4 Graflex Variant XENO3

 


>>ANAKIN EP3 Variant XENO3

 


>>Rey EP9 Variant XENO3

 


>>Obi-Wan EP1 Variant XENO3

 


>>Ezra Rebels Ver Variant XENO3

 

 

今回のブログは以上です!それでは、また!!!