ケイタが自分で乗っているハーレーダビッドソンのエンジン音が少し気になるということで、土曜日の道の駅 池田温泉での大道芸が終了してからケイタと二人で初ハーレーメンテナンス。
元々モータースポーツでエンジニアやメカニック経験はかなり豊富なんですが、バイクの修理となると殆ど経験なし。それがハーレーとなると見たこともないし、何と言ってもアメ車なのでハードルも多いのです。(笑)
まず最初のハードルは工具。海外でラリーをやっていた頃に使っていた工具はその後も使ってスピニング号のオイル交換などもしていたり活躍してるんですが、持っている工具はミリ単位のものばかり。
※こちらは40年感愛用している工具たち。
ラリーで使用していた頃もイタリア車やドイツ車、日本車だけで、アメリカ車はラリーで使ったことすらなし。(笑)さすがにインチ工具を持っておらず購入するところからスタートとなりました。
※新しく買ってみたインチ規格の工具で、どうやらハーレー向けに販売しているセットのようです。
ケイタも自分で持っている工具と合わせると、これでハーレーメンテナンスに必要な工具が大体揃いました。
土曜日は池田温泉まで行っていたので、夕方帰宅してからの作業を予定、ケイタに先行して外装パーツとマフラーだけ取り外してもらって、5時半ごろから合流して一緒に作業をしました。
明るいうちに戻ってこられて良かった!!暗くなると作業スピードが格段に遅くなるので、少しでも明るい時間に作業を進めておきたいところ。帰宅するとサイドケースとマフラーが外れたところです。
ちなみにケイタの背景に見える車は姪っ子の車。ケイタが作業しているスペースはOK!ヒロヤの車のスペース。
本当はバイクジャッキがあった方が良いとか、駐車場でやるような作業ではないかもしれませんが、こうやってケイタと一緒にバイクをいじるなんてことは、そうそうないと思うし、自分の経験値が生きるのならと、そう思って作業に踏み切りました。
それにハーレーはディーラーにちょっとお願いするとすぐ10万円!!!これも必要なら仕方がありませんが、自分で確認できるところまではチェックをしてからでも遅くはないからということも理由でした。
さて、作業はカムチェーンテンショナーと、プライマリーギヤチェーンの状態確認。そしてプライマリーオイル漏れ修復、ついでにオイルフィルターとオイル交換です。
カムチェーンテンショナーを見るためには、マフラーカバーすべて、エキゾーストすべて、ステップ関係を外す必要があります。
写真中央のクロームメッキがカムカバーです。
反対側のプライマリー側はもう少し大きくてボルト数も多くなります。
どちらのカバーもキャップボルト(六角穴)でインチ規格。よく、ミリ規格の近いサイズで代用してしまおうとする人もいるようですが、それはアウト!!ちゃんとした工具がなければ作業ができないので、適正な工具を用意することは重要となります。
下側を確認するとドレンボルト付近からオイル漏れの形跡が。ドレンボルトのパッキンなら良いのですが、ボルトがゆるんでいたり、プライマリーカバーに傷やクラックが入っていると困るので、やはり一度取り外して目視しないと安心できないのです。
エキゾーストマニホールドを取り外すときにもこの辺りは手が入り難くて作業に手こずります。しかも高温となるため焼き付いていたり、錆びていたりとネジには厳しい環境です。
ハーレーに限らず外車をメンテナンスするときの基本ですが、ネジが折れたり、ネジ山がなめてしまうと、簡単に代用品が入手できないのでこうしたところは慎重に作業をします。
特にこの部分はパイプのジョイントと位置決めのためのクランプだったので写真を撮影しておいたり、マークを書いておいたり戻すときのことも考えながらの作業を。
カムカバーは邪魔をしているマフラー関係のパーツが取り除ければそれほど難しくはありません。
キャップボルトをすべて外し、プラスティックハンマーなどで少し叩いてやればすぐに外れます。
カバーは外れれば、チェーンもテンショナーも目視出来ます。
実はオイルを抜いた時に、出てきたオイルの状態から判断すると80パーセントは大丈夫だと思っていましたが、やはりテンショナーのシューは全く問題なし。(オレンジ色の部分)
この写真は外側のテンショナー。もう一つ裏側にもあるんですが、こちらは覗き込まないと確認しにくい場所でした。それがこちら。
こちらも大して問題視されるほどではなく、無事にカムチェーン、テンショナーの状態確認は完了。ハーレーのツインカムはこのテンショナーがスプリング式。一部新しいハーレーは油圧式なので、一定のテンションがいつもかかっているスプリング式に比べるとシューの減りが遅いのですが、このハーレーはスプリング式。あと数年すれば嫌でも交換しなければならないでしょう。
その時にはカムシャフトを抜く必要があるため、もう一歩踏み込んだ作業が必要になります。燃料タンクを外し、エンジンへッドをばらしプッシュロッドを抜かなければカムシャフトが抜けないので、今回よりも作業時間が2~3時間長くなるのは必須。
次回、その作業が必要となれば頑張りましょう!
で…、今回の作業の進行に戻りますが…
カムカバー内部の目視できる範囲のボルト類はトルク確認しながら増し締めしてOK!!(OK!ヒロヤのようです。)
新しいガスケットと液体ガスケットを使用してカムカバーを取り付けて完了。
続いてプライマリー側。
ドレンボルトを外してギャオイルを抜き、オイルの状態確認。金属片ガンメタリックヒルト無いか?ドレンボルトの磁石に鉄粉がどれくらい付着しているか?などなど。目視するときは落ち着いて一つ一つを確実に。
鉄粉は少し付着していましたが、ギヤボックス内なら許容範囲。
それからキャップボルトをすべて外しカバーを外して、こちらもテンショナーとギヤの状態、チェーンのたるみをチェック。
チェーン、テンショナー、ギヤそれぞれ問題なし。
オイルの状態はオイル交換のたびにできますが、目視となるとなかなかここまでは分解しないので、ギヤに欠けが無いかなどできるだけ注意深く点検をしておきました。
チェーンの張り、たるみなども11mmほどで規定範囲内。将来チェーンのたるみが大きくなったりした場合には簡単に調整ができる構造になっていました。
こちらも新しいガスケットを液体ガスケットで固定して取り付けてカバーを元に戻してプライマリー側の作業終了。
あとはエキゾースト、マフラー、ステップなどを元に戻してオイルを注入すればすべて終わります。
がぁ・・・ここでハプニング!!
先ほど鉄粉を確認したドレンボルトが見当たらない!!
既に時間も10時を回っていたので、暗くてナイトショー用のLED投光器を全部点灯して、バイクもどかしてチェック!ひき逃げ現場の残留品をチェックするおまわりさんのようにケイタと細かく探したのですが、見つかりません。これが無ければギヤオイルを入れられない!!イコール!ケイタが帰れない!!
蹴っ飛ばしてしまったのか?と捜索範囲をググっと拡大するも見つからない!!
じゃ、エンジンオイルだけでも先に入れて作業を進行しながら…見つかるかもしれない…けどダメ!!一体ドレンボルトは何処へ?
ドレンボルトはギヤやチェーンから発生しオイルの中を浮遊する非常に細かい鉄粉を磁石で吸収するようになっている。お??磁石か??もしや工具に引っ付いているかと、工具を一つ一つ舐めまわすように見るも無し!!!
ふと見ると、パーツクリーナーや潤滑剤の缶スプレーが。ケイタに何気なく裏を見て?と。
ケイタがスプレー缶のドーム型に凹んだ部分にぴったり貼り付いているドレンボルトを発見!!
この捜索で1時間をロス。
急いでオイルを入れて、PL-500を注入し、エキゾーストのガスケットを交換し、マフラー、サイドケースを元通りにしてすべての作業が無事に完了。
部屋に戻って手を洗い、コーヒー飲んで、30分ほど休憩したらテストラン。しかしもうすでに12時。バイクを広い大通りまで引いて行ってエンジンスタート!!周辺を少し走行してみて、排気漏れ、オイル漏れが無いかをチェックしてからケイタは快調に帰っていきました。
自分も初めてだったし、手順の確認、慣れない工具、ドレンボルトの捜索など、意外と作業そのものよりも他に時間をとられた感がありました。次回はもう少しスピードアップできるように自分自身への憶え書きとして作業手順を残しました。