梅のシーズンもおわり、桜の季節もあっという間に終わってしまいました。梅の花が意外なほど早くに咲き、きっと桜も早くなるだろうと思っておりましたら、なんと急な寒さで全くの的外れ。遅れた桜の開花のおかげでこのところ忙しかったパフォーマンスの現場。

桜の現場は電源の無いところが多く、音響機材を使用するためにリチウムイオンバッテリーを搭載した大容量のポータブル電源などを活用し、全ての音響機材はバッテリー駆動でショーを実施します。現場のスペースはそれほど広くはないのですが、ギャラリーのキャパシティが平均して150~200名とまあまあ多めなので、それなりの音量も必要になるためポータブル電源の容量もそれなりに必要になります。

イベント出演や、施設の中でのショーは電源があるのでバッテリーなどは殆ど必要ありません。しかし、東京都のヘブンアーティスト活動ではすべての現場で自給自足で、電源を用意する必要があり、しかも発電機は禁止。電池駆動のアンプか、リチウムイオンバッテリーなどを使用することとなるのですが、年間を通して私たちも毎回使用しているわけではなく、俗に言う「たまにしか使わない」という機材です。

たまに…と言っても半年以上はインターバルはなく、それでも現場で使用したらフル充電してから片付けて、次に使用する前にはもう一度フル充電をしてから現場へ持ち出すようにしております。こうやってリチウムイオンバッテリーのケアをしておかないと「いざ!」という時に作動してくれないと困るのも嫌なので充電作業だけは慎重かつ確実にしております。

 

 

今回のブログテーマは「リチウムイオンバッテリー」です。

これまでにも何度も取り上げて書いてきたので、わかっている人は良いし、わかっていたけどついつい忘れてしまっているという人、へぇ~知らなかった!という人は一度ご自分のセーバーのことも思い出してあげてください。

 

最近多かった修理依頼・お問い合わせフォームからのご質問で「起動しない」という内容についてですが、大半はリチウムイオンバッテリーの問題。

質問内容を一部、簡単に例を挙げますと「3年前に買ったカスタムライトセーバーを久しぶりに起動しようとしたら電源が入らないし、充電もされない!」という人や、「半年前に遊んで問題なかったが、最近使おうとしたら電源が入らないので、これはサウンドボードが壊れているか?」というような、類似した内容の質問や修理依頼があります。

当店、当ブログの トラブルシューティング や Q&Aには リチウムイオンバッテリーについても、起動しない場合の対処方法も多くの情報を書いておりますが、今一度、本ブログのこのページでお知らせしておきたいと思います。

リチウムイオンバッテリーをカスタムライトセーバーのシャーシに装着したまま放置すればフル充電してから保管しておいても半年も何もしなければ起動できるほどの電力が残されているかどうか?という状態になります。まして、遊んで電力を消費した状態から3ヶ月も放置していれば、次に起動できるかはわかりませんし、更に、起動できないだけでなく、シャーシに装着されているサウンドボードを通してチャージできるかどうかさえも分かりません。

流石に3年という歳月では完全にリチウムイオンバッテリーが過放電で死んでしまっている状態なので、新しいリチウムイオンバッテリーに交換が必要になります。

先日、何年も前に販売したカスタムライトセーバーを3年ぶりに使おうとしたら…、というお客さんからの相談で、修理依頼からリチウムイオンバッテリーの交換を行いました。何よりもそれほどの年数、所有していてくれて、更にもう一度復活させて起動したいというお客さんの気持ちも嬉しかったので、修理というよりも改造になることは明白でしたが、復活作業をお受けした次第でした。

まず、ヒルト本体のみをお送りいただき、慎重に分解してみたところ、そのカスタムライトセーバーはかなり旧型で初期のものだったので、シャーシが搭載されておらず、スイッチや充電ポートがヒルトにダイレクトに取り付けられているタイプで、リチウムイオンバッテリーは配線がハンダ付けされておりました。

一度、装着されていたリチウムイオンバッテリーをテスターで測定しましたが、当然ですが、あり得ないほどの数値でした。(ほぼ、ゼロに等しい  笑)

考えることもなくすぐにリチウムイオンバッテリーを取り外し、サイズとスペックを確認。フラットトップ型で18650サイズ 1500mAh 3.7v 5.55WHでした。交換できるサイズのでストックしているものが18650サイズ 3200mAh 3.7v 11.84WH で約倍の容量のものへと交換することにしました。

特にこのカスタムライトセーバーはダブルブレードなのでLEDレンズタイプであり、ネオピクセルではないにしてもかなり電力を消費するはず。容量アップで起動時間も大幅に増えるはずです。

新品のバッテリーの取り付けに関しては端子に直接ハンダ付けするのはできなくもないですが、あまり好ましくありませんので当店にころがっていたシャーシのバッテリーホルダー部分だけを加工して取り付けました。

スピーカーコーンが劣化によって破れていたので、オリジナルの四角から丸いタイプに変更。音も良くなりました。それにしてもメルトボンドで固定してあったのですが、こんな状態でよくまともな音が鳴っていたなという状態で驚きました。

ミニコネクターでメンテナンスしやすいように追加で取り付けたバッテリーホルダーの裏側にコネクターと配線用のスペースを確保してヒルトに収めました。

無事に作動確認もでき、お客さんの元へ帰っていきました。

こうした少し前のカスタムライトセーバーは、ハンダ付けしてあったりして、リチウムイオンバッテリーの取り換えがし難いタイプもあります。、リチウムポリマーの異形タイプなどは同じタイプのバッテリーを探しきれなかったり、生産終了となっていると改造してバッテリーをヒルトに収める工夫をしなければなりません。

これまでにも当店の取り扱いモデル以外の修理やカスタマイズをお受けしてシャーシを3Dプリンターで製作した経験も何度かありますが、どんなに古いタイプでも手に馴染んだものを復活させるというのは良いことで、そうしたお手伝いができるのも嬉しいことであります。

こうやって書いていると、「じゃ、是非、このライトセーバーも改造して!」とお願いされることもあると思いますし、起動できなくなったり、バッテリー交換など、これからもお問い合わせはあると思います。

そこで、ひとつ書き添えておきたいことが…。

たまにある「他店で購入した」というセーバー。もちろん、これも含めて修理依頼には対応しております。

しかし、もっとも重要なのはマニュアルです。他店からでも、また海外からダイレクトで購入した商品でも、ここまで詳しくメンテナンスの方法や操作方法も書かれてはおりませんし、特に海外ダイレクトは全て英語表記です。そしてリチウムイオンバッテリーについては法的な注意事項だけで肝心なバッテリーケアのことは皆無なのです。「充電ポートで付属のケーブルを使って…」と書かれているだけで充電ポートから充電を受け付けなくなったら?これはどうする?という内容については全く情報はありません。

他のパーツのメンテナンスも重要ですが、特にリチウムイオンバッテリーについては取り扱いに注意が必要ですし、過放電になってしまったバッテリーを使用するのも危険です。充電ケーブルを接続したまま何時間も放置しておくのも危険です。そうした取り扱い上の注意事項の記載があるかどうかを確認するべきでしょう。

 

また、他店でご購入されたカスタムライトセーバーでも多少の金額の差(当店購入品と他店購入品とでは作業工賃が違うため)はありますが、修理対応はしておりますし、説明もきちんとメール対応しております。

ただ、「起動しなくなった」、「充電できない」と単語だけ書かれて送信されても、対応する方としては「いつ」「どこで」「どうしていて」「なにが」という状態判断の情報不足では返信のしようがないものもあります。

訊ねる側は簡単で良いかも知れませんが、親身になって応えようとしてもこんな乱暴な聞かれ方では対応したくても対応できないこともありますので、お問い合わせする際にはその時点での状態や、最低限の情報を書くよう少しご配慮くださいませ。(当店修理担当エンジニアからのお願いです)

 

最後にもう一度書いておきますが、長く使わない時にはリチウムイオンバッテリーをフル充電してからホルダーから取り出して密閉性のあるジップロップのような袋に入れておくのが一番です。

カスタムライトセーバーを使用して「ローバッテリー!プリーズ、リチャージ!」という音声案内があった場合は、そのまま放置せず、必ず充電を行ってください。バッテリーを消費しきったまま、そのまま3ヶ月も4ヶ月も使わないと次に起動できない、または充電すら受け付けてくれないということもあります。

また、充電は「Ready!」という音声案内があるので、そのままケーブルを接続したまま放置しないでください。「ローバッテリー…」の警告音声があった場合からですと4~5時間かかる場合もありますが、充電中のカスタムライトセーバーから離れる場合、外出する場合には面倒でも一度充電ケーブルを外して中断しておき、戻ってから充電再開をするようにしてください。

XENO3仕様でもSNV4仕様でも、リチウムイオンバッテリーが過放電(いわゆる死んだ状態)の状態からだとサウンドボードを通しての充電ができなくなります。その場合、市販の18650ホルダー型 リチウムイオンバッテリー専用充電器を使用してリフレッシュ機能を使用するか、ディスチャージしてから充電開始となるプロセスを実施するか、いずれにしてもそのリチウムイオンバッテリーを復活させるのは時間も手間も機材も必要になります。

また、上手く復活させられても100パーセントのパフォーマンスを発揮できるかどうかもわかりません。

一番良い方法は、あっさりと新品のリチウムイオンバッテリーに交換してしまうことです。

リチウムイオンバッテリーの過放電は、故障でもサウンドボードの破損でもなく、人災だということをお忘れなく。

 

 

それでは、安全、安心なカスタムライトセーバーライフをお楽しみください。